2008年09月09日

鼻毛の想い出

高校生の頃、中途半端な演劇部員であった。
演劇部にはマリコさんという先輩がいて、思い当たる節もないが何故か僕のことを可愛がってくれた。
部室で何やかやと話し込んだり、文化祭のフォークダンスに誘って貰ったり。それは僕にとっていわば淡い初恋のようなものであったが、幼稚園でも、小学校でも、中学校でも、そして高校でも、その時々の恋はいつでも常に「初恋」だったなあ、と僕には今何となくそんな風に思われるのである。

ところで、マリコ先輩が笑うと、時々鼻毛がニュッと見えた。笑顔が素敵な人だったから、鼻毛もいつも素敵だった。もしかしたらこっそり煙草を吸っていて、そのせいで他の女子よりも鼻毛が伸びていたのかも知れないが、僕はその鼻毛もコミでマリコ先輩のことをとても好もしく思っていた。
マリコ先輩の鼻毛を見るとホッとした。それは、つまり、マリコ先輩の笑顔にホッとするということとほぼ同義な安心なのであった。

結局、マリコ先輩は高校のクラブ活動の先輩以上の存在にはなり得なかった。しかし、多くの「初恋」がそうであるように、だからこそ想い出は美しい。
意味のないことをいくら重ねても空しいだけだという意見もあるのだが、そしてそれは正論だとも思うのであるが、意味のないことの積み重ねにも、やはり愛しさは宿るのである。
posted by og5 at 21:14| Comment(4) | TrackBack(0) | 記憶 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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