2008年10月14日

三浦和義事件

「三浦和義事件」という本がある。
推理小説作家・島田荘司のノンフィクションで、そのタイトルが示すように三浦和義をめぐるあの一連の出来事を(執拗に)追いかけている。
この本には誰もが納得するような結論はない。が、正義とは何か、と改めて読む者に(答えようのない問いを)問いかけて来る。

いわゆる「ロス疑惑」は、週刊文春の連載記事「疑惑の銃弾」から始まった。そのこと自体は批判されるべきことではないし、公権力が手を下そうとしない重大な疑惑について世に問うことはマスコミの使命のひとつでもあろう。しかし、それによってある構造が生まれてしまったこともまた事実であり、簡単に言うとそれは「世間(マスコミ)が判断していいのだ」という風潮なのであった。
もちろん、ここには三浦自身の性質も大きく影響している。彼は、明らかにいかがわしい。
だが、法的正義と被告の(あるいはまだ被告ですらない疑わしい人物の)性格とは、それがいかに胡散臭いものであったとしても、決して同じ秤に(それだけを抜き出して)かけるわけにはいかないものなのではないか。

あえて断っておくが、もちろん僕は三浦和義を擁護しているのではない。島田荘司は社会的私刑(リンチ)への嫌悪感からか幾分三浦に肩入れしているようにも感じられるが、しかし、「三浦和義自殺」の号外を、新たな公演のチラシででもあるかのように笑いながら受け止める人々を見ると、あの時蒔かれた種が確実に育っていると厭でも実感せざるを得ないのだ。そして、今こそ僕達は島田の「三浦和義事件」を読み返すべきではないのか、とも思うのだ。

今回の「自殺」についても、擬装自殺に失敗しただけなのではないか、というような見方が世間にはあるのである。そして、三浦和義という人が、そんな想像すら「もしかしたら」と思わせずにはおかないような特殊な人物であったこともまたまぎれもない事実なのである。
真相は闇の中。
でもやはり、僕達は法によらず自ら人を裁くべきではない。

三浦和義事件 (角川文庫)三浦和義事件 (角川文庫)
島田 荘司

角川書店 2002-10
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posted by og5 at 19:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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