2008年07月14日

「非現実の王国」の大門を前にして

シアター・プレイタウンにて、「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」を観た。
ヘンリー・ダーガー(もしくはダージャー)は(一応働いてはいたのだが)いわゆる「引きこもり」生活をおくって一生を終えた。密かに創作し続けていた妄想物語・画(絵巻)、そして日記など膨大な作品群が死後発掘されるまでは、全く無名の存在であった。それら創作はいわば彼の極私的営みでしかなかったから、一般社会においては評価のされようがなかったのである。

「ヴィヴィアン・ガールズ」を始めとして、彼の作品には多くの「子供達」が登場する。そして、そのほとんどが両性具有の少女である。作品のモチーフとするために収集された多くのパンフレット、雑誌や新聞の切り抜き、そして写真を前にした時、誰もがその量と異様さに圧倒されずにはおられないだろう。
彼が生前周囲の人々から明確な糾弾を受けずに済んだのは、誰も彼の「妄想」を見たことがなかったことと、彼自身のむしろ求道者とでも表現すべき抑圧された寡黙さ故であったのかも知れない、などと勝手に思う。

また、彼は常にキリスト教徒であることと向き合っていた。いや、向き合わずには生きて行けなかった。実際、彼の作品の主題には、常に少女と神(キリスト)が立ち現れるようである。そして、その軍隊あるいは戦争と少女の組み合わせは、宮崎駿はもちろん、数多くのアニメーション等で今やひとつのルーティンとなってしまった感さえある「少々危ういジャンヌ・ダルク」の正に先駆であったとも考えられる。
何故両性具有なのかについては、もはや我々には正解を手に入れる術がない。

ところで、僕にはヘンリー・ダーガーは未だに謎のままである。
何故ならば、「非現実の王国」の大門を前にして、僕は大いに眠りこけ、ついにその下をくぐり抜けることが叶わなかったからである。

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国でヘンリー・ダーガー 非現実の王国で
John M. MacGregor 小出 由紀子

作品社 2000-05
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posted by og5 at 18:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
迷ったもののいかず・・・
妄想という言葉にひかれましたが、なんだか寝おちしそうな気がして・・・
OGもなくなった後、あんなものやこんなものが山ほどでてきて失笑をかわないように身辺整理必須ですぞ!
Posted by Fuming at 2008年07月15日 11:55
>Fuming

そういう歌詞、あるいは物語を密かに暖めております。
そちらこそお気をつけあそばせ。
Posted by og5 at 2008年07月15日 18:31
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