2008年08月04日

「悪魔」と「死神」

鳩山邦夫法相の死刑執行に対して、朝日新聞の夕刊コラム「素粒子」が、同大臣を「死神」と揶揄したことに対して「全国犯罪被害者の会」が質問状を送っていた。
法に則って死刑執行を指示する法相を「死神」と呼ぶことは、法の下の正義(死刑)の執り行われることを望む被害者遺族をも侮辱するものである、というのが彼等の主張である。
そして、この度(3回目の回答)で、朝日新聞側からやっと謝罪の意思が示され、「全国犯罪被害者の会」側もこれを了承したのだという。

「〜犯罪被害者遺族をはじめ多くの方々からのご批判を踏まえたとき、適切さを欠いた表現だったと言わざるを得ない〜」

しかし、果たしてこれが謝罪の言葉だろうか。
そもそも「〜ざるを得ない」というのは、本意ではない、ということの表明ではないのか。

一見謝っているように聞こえるかも知れないけれど、実際はひと言も謝ってなんかいませんよ。謝罪だと受け止めるのは、まあ世間様の勝手ですけどね。

明らかに、朝日新聞はこう言っているわけである。

ビアスの「悪魔の辞典」にでも出て来そうなエピソードだなあ、と思う。
ビアスが一世紀近くも前に著した古典における「悪魔」とは、まぎれもなく「人間」、それもいわゆる「建前と本音」を都合よく使い分ける「人間」そのもののことであろう。
「死神」呼ばわりされた者も、「悪魔」的言説を弄して「謝罪」した者も、共に「人間」なのである。

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※と言っていた自分が、「犯罪被害者遺族」と書くべきところを、当初「犯罪者遺族」と書いてしまっておりました。誠に申し訳ございません。
posted by og5 at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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