2008年08月16日

扮装する人々

「ミスター・ロンリー」と、あっと言う間に上映が終わってしまった「P2」との関連性について。

「P2」には、有名な俳優も出ていないし、筋立てもチープである。まあ、どちらかというとB級作品なのであろう。ただし、A級であるかB級であるかはあまり大きな問題ではなく、面白いかどうかがまず第一義だと思っているから、僕にとって「P2」の評価は決して低くはない。もちろん、「面白い」にはいろいろな意味がある。

使える限りの予算内でサスペンスを盛り上げ、観客にショックを与え、ゴアリーな描写が好きな人にもそこそこ満足して貰いつつ、最終的には復讐譚としてのカタルシスも用意されている・・・。
つまり「P2」は娯楽作品として(やや中途半端であるとはいえ)非常にオーソドックス(かつ真面目)なのだが、僕が注目したいのは犯人トムの扮装趣味である。
地下の警備員控え室で、トムがプレスリーのレコードに合わせて踊るシーンがある。プレスリー人形付きカートリッジがレコードの溝をゆっくり滑る。なり切って踊るトム。カメラがなめる部屋の中には、プレスリーのコスチュームを完璧に着込んだトムの写真が飾られている。
このシーンはやや唐突だし、その後も特に何の説明もないので勝手に思い込んでいるだけなのかも知れないが、トムもまた「ミスター・ロンリー」なのだと僕は思ったのである。
アンジェラが意識不明のまま着せられているのも、単なるパーティ・ドレスではなく、明らかにマリリン・モンローのあのドレスであろう。
つまり、トムは、エルビスとマリリンのデートを画策していたのである。

「ミスター・ロンリー」は、有名人になり切ることでしかアイデンティティを保ち得ない(逆に言えば、そもそもアイデンティティのない)哀しい人々を描いていたが、「P2」ではそれがいきなり犯罪者(ストーカー)である。
普通に考えて(様々な意味で)より程度の低い「P2」の方がより常識的である、というのが面白い。それは、作品自体の評価や芸術的な位置付け等と全く関係なく、単に作者(監督あるいは製作者達)の性質(もしくは趣味)を現しているのだ、と僕は思う。
もしかしたら、観客の、か。

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posted by og5 at 09:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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