2008年08月25日

残酷なことも含めての女性・賛〜「赤い天使」

赤い天使赤い天使
有馬頼義 笠原良三

角川映画 2004-11-26
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映画でも小説でも、その「形」にすごく興味がある。もしかしたら間違った受け止め方をしてしまっているのかも知れないというリスクを感じないわけでもないのだが、いかんともし難い。
「赤い天使」を観た時も、僕はまず「形」を考えずにはいられなかった。
それはつまり、西さくら(若尾文子)を巡る3人の男達には、きっと何らかの意味があるのだろう、ということである。

3人の男達には、性的な意味において明らかに象徴的なある役割が与えられている。
ひとり目の坂本一等兵は、内科病棟の他の兵隊達と共に西看護婦に性的暴行を加える。彼は男性として性的に正常であり、それが故に死を免れ得ないであろう前線に送られる。
二人目の折原一等兵は、戦傷によって両腕を失っている。それ以外には何らダメージを受けていない彼は(自らの手が使えないが故に)日々性的苦悩にさいなまれる。西看護婦は彼を救済するが、その救済は、かえって彼の将来の絶望を際立たせ、彼を死へと急き立てる。
岡部軍医は、モルヒネ注射の常習により性的不能者となっている。西看護婦は、彼に亡き父の面影を見い出し、その尊敬の念はたちまちに恋愛感情に移行する。岡部は、彼女の献身的な愛によりモルヒネ中毒から抜け出し、同時に彼のインポテンツも治癒するのだが、おそらくそのせいで過剰に男らしさを取り戻してしまう。それは、岡部を死へと誘う。

3人の男達は皆死ぬのである。だが、彼等は不幸であろうか。
坂本一等兵は蛮行を詫びながら息絶えるが、折原一等兵は自ら命を絶ってしまうが、岡部軍医は敵兵の凶弾に倒れ身ぐるみ剥がされ荒野に打ち捨てられるのであるが、果たして彼等は不幸であろうか。
坂本一等兵は西さくらを恨んではいないだろう。折原一等兵も西さくらを恨んではいないだろう。岡部軍医においては、もちろん言うまでもないことである(胸の薔薇よ)。

西看護婦は、これら3人の男達の死に寄り添い、そして生き続ける。
これはおそらく戦争映画ではなく、まして反戦映画などでもなく、実は純粋に女性賛美の映画なのである。
若尾文子がこの映画を観たくもないと語っているという「逸話」は、これが正しく男のための映画であるという証明でもあろう。

コスプレあり。
そういう意味でもまた、これは先駆的作品である。
posted by og5 at 22:26| Comment(3) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
さようなら〜〜〜。若尾文子さま。
あなたの悪女ぶり、美しさ、映画館でお会いしたかった・・・・
昨日、なぜか7時30分からだという確信のもと
シネマパレに走って愕然・・・・
29日で終わりならもう滑り込みは無理決定!
トホッーな気分ですだ。
Posted by Fuming at 2008年08月27日 09:48
昨日、シネマパレにかけつけました。
7時30分とばかり思って20分ころ・・・
とほ〜〜〜しょぼ〜〜〜ん・・・
大画面で若尾文子さんにお会いすることできず。
とっても残念ですた。
Posted by Fuming at 2008年08月27日 16:50
>Fuming

ダブってるんだよなあ、とは思いつつ、二つのコメントが微妙に違うので削除出来ません。。
(このままでもイイでしょ?)
結局観られなかったんだ。
とても残念です。

でも多分DVD収集する予定(tomoskaには内緒)。
Posted by og5 at 2008年08月30日 16:52
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