2008年09月14日

大いなる助走

<蛾が羽をプルプル震わせているのは、飛び立つために必要となる体温を確保するため、必死になって身体を動かしているのだ>・・・。

僕はこのことを「三人寄れば虫の知恵」で知ったのだと思っていた。これは、 養老孟司、池田清彦、そして奥本大三郎による虫オタク全開の対談本で、虫好きでなくとも大いに楽しめる傑作だが、今朝パラパラと読み返してみたけれど、該当するような記述を見つけ出すことは出来なかった。
いずれにせよ、蛾は準備運動をする生き物で、そのため今まさに叩き潰されようとしているというのに、一向に飛び立たず、羽を小刻みに動かしながら、その辺をうろうろと動き回っているのである。

自分がもし蛾だったら、などと小学生の作文か詩のように想像してみる。
飛び立てないのは、夜になって窓ガラスが冷たくなったのにも気付かず、怠惰に外の景色など眺めていたからだ。どんなに焦っても空中に舞い上がるほどの体温にはまだ程遠い。
ウロウロウロウロウロウロウロウロ。
プルプルプルプルプルプルプルプル。
無闇に粉を飛ばすんじゃないと言われたって、こっちだって好き好んでこうしてるわけじゃない。
ウロウロウロウロ。
プルプルプル。
でも、ああ、もうじきだ。もうじき身体が温まる。温まってエンジンがかかる。
ブルンブルンブルン。
それっ!

大いなる助走は、このようにして終わる。

もしもの時を考えていつも暖かい場所にいればいいのにね。あるいは、最初から蛾になんか生まれて来なければよかったのにね、などと無理な注文をされても出来ないものは出来ないのだ、とあらかじめ考えておいた言い逃れを言う。

<蛾は蛾に生まれるのではない。蛾になるのだ>・・・。

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養老 孟司

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posted by og5 at 11:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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