2007年06月03日

先週観た三本の映画について

先週の木曜日、急に思い立って会社を早退し、TOHOシネタウンに向かった。
「リーピング」を観るためである。「イナゴ少女」という惹句が、ずっと気になっていたのだ。
「reaping」というのは、「収穫」という意味。「報い」という意味合いもあるようだが、映画としては至極真っ当な「キリスト教の流れを汲む邪教絡みホラー」であった。
確かにイナゴの大群は画面を覆い尽くすが、そしてそれは一人の少女の強い力によって惹き起こされる事象ではあるが、別に彼女が「イナゴ少女」だというわけではなかった。
面白かったけれど、少し物足りない。
主演がヒラリー・スワンクではなく、誰かもっと全然無名の女優だったらよかったのかも知れない。

昨日は映画のはしごをした。
まず朝一番で、松本人志初監督作品の「大日本人」。
初日第1回目なので、混んでいるかな、と(混雑した映画館が不得意な僕は)ちょっと嫌な気がしていたのだが、余計な心配だった。
僕はこの映画を、ヌーベル・バーグなのではないか、と感じている。
連想したのはゴダールの「アワーミュージック」で、しかも「大日本人」からは、ちゃんと「アワー=日本人」の音楽が聴こえて来た。
この人の、いつも少しやり過ぎるサディスティックな感覚は好きになれないし、ではこれは傑作かと問われれば肯定も出来ないのであるが、北野武映画みたいだったらどうしよう、という不安が杞憂に終わったことだけは確かなのであった。

夕方からは「パリ、ジュテーム」を観た。
18人の監督が、パリの様々な街角を舞台に様々な人生を切り取ったオムニバス。
こういう映画は話によって好き嫌いのバラつきがあって難しい。僕には、クリストファー・ドイルのパートは時間の無駄としか思えなかったし、また、ガス・ヴァン・サントの作品も、画面から嫌な臭いを感じてしまって、好きになれなかった。
僕が特に好きだったのは、妻に別れを切り出そうとしたが逆に不治の病を告白されて別れられなくなってしまう男の話と、オスカー・ワイルドの墓を訪れた若いカップルの話、そして腹を刺されて死に行く男と救急隊員の女の話。
そうそう、イライジャ・ウッドの出るヴァンパイアの話もよかったし、眼鏡をかけたちんちくりんな子供が語る(ずっとパントマイムをしている)父と母の話も大好きだ。それに、もちろん、デンバーから憧れのパリにやって来た郵便配達員キャロルが語る「人生の機微」は別格・・・。
それにしても、クリストファー・ドイルの部分さえなければ、とどうしても思ってしまう僕はこだわり過ぎなのだろうか。
だから、オムニバスは(オムニバスを観るのは)難しい。
posted by og5 at 21:34| Comment(9) | TrackBack(6) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんとか頑張って時間を作って、「パリ・ジュテーム」を見に行こうと思ってたところですが・・・。
オムニバスはやっぱり難しいですか。
実は最近、「がっかりするかも」と危惧しながら「ユメ十夜」を見てきまして、やっぱり「???」でした。
でも松尾スズキの編はなんとなく面白かったです。
それにしてもあの十夜目は、むむ・・・。

「大日本人」も見に行きたいです。
Posted by としぴー。 at 2007年06月04日 00:05
素朴な質問です。
ガスヴァンサントのエピソードって題材は何だったんですか?
まーったくわからなかったのです。
わかりやす〜く教えて下さい。よろしくお願いします

Posted by 川口 at 2007年06月04日 01:21
私もドイルの巻を期待していただけに、あれっ?思ったけどオムニバス楽しめました。
ガスヴァンサントの映像からどんな匂いがしたの?たとえていうと?
わかりやす〜く教えてください。
Posted by Fuming at 2007年06月04日 12:43
あら〜、皆さん、今日またひとっちゅ年をとったうちのog5をいぢめないでくださいね。

川口くん、あれはですね、自分の片割れはきっと君だっつうナンパを、言葉がわからない故に友情と勘違いして駆け出した少年、あきらかに心のベクトルが違う二人のこれからをガス・ヴァン・サントがまたしてもぐだぐだと盛り上がりも見せ場もなく「ラストデイズ」のごとく、次回作にするって前振りです。いや〜、Fumingじゃないけどそんなのあったら観たいなぁ。上映してくれたら必ず行くよ!
Posted by tomoska at 2007年06月04日 21:27
>としぴー。様
難しいのは(僕の)個人的な問題です。
「パリ、ジュテーム」は、(総体的に)とてもいい映画でした。
あんたの感想はいっつも判りづらいんだよ、と妻に叱られる今日この頃です。
是非観て下さい。

>川口くん

妻が何か勝手にコメントしておりますが、僕としては、孤独と、例えそれが勘違いだとしても、何かが始まろうとしている予感、昂揚する心、といったものが「題材」なのだと思います。
僕の中では、これは別に同性愛でなくても、特に構わないのですが。

>Fuming

具体的に言うと、電話番号を渡す方の彼の、汗の臭いがしたのです。
それは、いわゆる「汗臭い」ではなくて、もっと曖昧な、微かと言ってもいいくらいのものなのですが、僕にとっては(生理的に)とても気になる臭いだったのです。

>tomoska

同意します。
何故か「美しき誤解」という言葉が思い浮かんだよ。
Posted by og5 at 2007年06月04日 22:18
わかりやす〜いご回答ありがとうございます!
あのエピソードだけはさっぱりわからなかったので大変勉強になりました。
しかし『パリジュテーム』は難しい映画でした。

※『寝ずの番』から一年が経ったのですね。おめでとうございます。
Posted by 川口 at 2007年06月05日 16:02
>川口くん

「寝ずの番」がちょうど今頃だったかぁ。
どうもありがとう。
ところで、クリストファー・ドイルは理解可能だったのすか?
Posted by og5 at 2007年06月05日 22:32
クリストファードイルって床屋のやつでしたっけ?
理解は出来ませんでした。
と言うか『クリストファードイル』と言う名がスクリーンに出た時点で理解しようとしなかったかもです。
志茂田景樹に似てますよね。
Posted by 川口 at 2007年06月08日 22:10
>川口クン

志茂田景樹、最近見ないね。
この人が、テープレコーダーに小説を吹き込んでるのを見てショックを受けた記憶があります。
多分、推敲も何もせずに、そのまま誰かにテープ起こしさせてたんだろうな。
Posted by og5 at 2007年06月10日 16:50
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