2008年03月11日

「ヒューマン・ルネッサンス」、加橋かつみ

ヒューマン・ルネッサンスヒューマン・ルネッサンス
ザ・タイガース

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ザ・タイガースのタローこと森本太郎が初めて作曲した曲「青い鳥」は、アルバム「ヒューマン・ルネッサンス」に収録されている。ザ・タイガース屈指の名盤と評価も高い本作では、森本だけではなく、トッポこと加橋かつみも曲作りに取り組んでおり、ヒット曲「廃墟の鳩」をはじめとしてリード・ヴォーカルをとっている曲も多い。
驚くべきことに、これは立派にコンセプト・アルバムで、前年(1967年)既にザ・ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が発表されているとはいえ、デビュー3作目のGSのアルバムでこの完成度はやはりすごいと思う。

作曲ということに関しては、ザ・テンプターズの松崎由治も、デビュー当時からごく当たり前のようにして優れたオリジナル曲(たとえば「忘れ得ぬ君」など)を作っていたわけで、これは何もザ・タイガースがパイオニアであるなどということではない。有名無名を問わず、オリジナル勝負のGSバンドは他にもいた。しかし、何といってもアイドルの(ある意味当時アイドルでしかなかった)ザ・タイガースがこれを作ったということに、僕は感動するのだ。
これも結局は「作られたもの」でしかない、という見方もあるであろう。実際、演奏面におけるバンドとしての存在感は甚だしく低く、オーケストラによるクラシカルなサウンドが全体の印象を支配している。
しかし、それでもやはり僕は、これは彼等のオリジナルな名盤なのだ、と思う。何故なら、ここには、何かを創造する喜びがあふれている。聴く度にそれがひしひしと伝わって来るからである。

収録されているのは全部で12曲。「光ある世界」で始まり「廃墟の鳩」で終わる37分間は、とにかくヨーロピアンで中世的な魅力と詩的情緒に満ちている。このアルバムで、加橋かつみの果たした役割は大きい。
玉置宏がラジオ番組中、このアルバム発表の翌年起こった加橋の「失踪事件」を、「実に下らねえ」と吐き捨てるように言っていたのを僕は強烈に記憶しているが、実は渡辺プロのヤラセだったという「失踪事件」前から、加橋は強くザ・タイガース脱退を求めていたのだという。
このタイトルを「人間再生」と訳すことが出来るだろうか。その結果はともかく、アルバム「ヒューマン・ルネッサンス」の世界観と、加橋の「失踪・脱退」は、見事にシンクロしている。

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posted by og5 at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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